若狭ふぐ

“寒さ”と“潮”が育てる極上の身
若狭ふぐの味を決定づける最大の要因は、若狭湾の環境そのものです。冬には海水温が大きく下がり、潮の流れが複雑で栄養豊富。この環境で育つと、ふぐはゆっくりと成長し、身に強い弾力が生まれ、噛むほどに旨味が広がる白身になります。また、若狭湾は水質が安定しており、白子(精巣)が大きく育ちやすい海域としても知られています。雑味がなく、ねっとりと濃厚でクリーミーな白子は、若狭ふぐの“最大のご馳走”とされるほど。さらに地理的に、漁場と宿泊施設が極めて近いことも重要です。生け簀から料理までの距離が短いため、ふぐにストレスがかからず、鮮度を極限まで保ったまま提供できます。

高級魚「とらふぐ」の魅力
若狭ふぐの品種はとらふぐ(虎河豚)です。高級魚として知られ、他のふぐに比べて身質がしっかりしており、旨味成分(イノシン酸)が多いのが特徴です。養殖技術の進化により、若狭湾の環境を活かしながらストレスの少ない飼育が行われており、天然物に迫る身の締まり・透明感・香り高さが実現されています。特に冬場のとらふぐは、身の張りと白子の成熟度が高く、「若狭湾の冬の最高峰」とも評されます。

身が締まり白子が育つ“冬の味覚”
若狭ふぐの旬は 11月〜3月。寒さが深まるほど身が引き締まり、旨味が強くなります。中でも 1月〜2月が最盛期。白子は大きく膨らみ、火を入れるととろりとした甘さが際立ちます。刺身は淡い透明感を帯び、鍋に入れると身がふっくらと膨らみ、噛めば弾むような食感が広がります。「冬の寒さこそ最高の調味料」──それを体現しているのが若狭ふぐです。

冬の若狭を味わい尽くすひととき
若狭の宿では、ふぐを丸ごと楽しむ伝統的なコースが提供されます。
てっさ(薄造り)
透けるような薄さの身をポン酢で。噛むほど旨味が広がる若狭ふぐの真価がわかる一皿。
ふぐちり鍋
昆布だしにふぐの旨味が溶け、ふっくらした食感を楽しむ王道の料理。
焼きふぐ
香ばしさが加わり、濃縮した旨味が堪能できる人気の品。
唐揚げ
外はカリッと、中はふわり。揚げることで甘味が際立ちます。
白子料理(白子焼き・白子ポン酢・白子鍋)
冬の若狭が誇る最高の贅沢。濃厚さと上品さが同居する逸品。
雑炊
鍋の旨味が凝縮した究極の締め。
ひとつのコースで、ふぐのさまざまな表情を堪能できるのが、若狭のふぐ料理の醍醐味です。

